解体工事の実務経験には、解体登録が必要。注意が必要な「電気工事」「消防施設工事」「解体工事」

実務知識

建設業許可の専任技術者は、資格の他、実務経験でその要件を満たすことができます。

● 実務経験10年以上
● 指定学科卒業+実務経験3~5年以上

この実務経験については、経験した工事内容が希望する工事業種に該当するものでなければならいないのは当然のことです。

今回の記事では、これに加えて、特に「電気工事」「消防施設工事」「解体工事」について「建設業許可事務ガイドライン」に記載されている条件について説明したいと思います。

ガイドラインの記載

建設業許可事務ガイドラインには実務経験(特に「電気工事」「消防施設工事」「解体工事」)について以下の記載があります。

電気工事及び消防施設工事については、それぞれ電気工事士法、消防法等により電気工事士免状及び消防設備士免状等の交付を受けた者等でなければ、一定の工事に直接従事できないこととされているので、審査に当たって十分注意する。

また、建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(平成12年法律第104号。以下「建設リサイクル法」という。)施行後は、令第1条の2第1項に規定する軽微な建設工事であっても同法に基づく解体工事業登録が必要となるので、同様に審査に当たっては十分に注意する。

建設業許可事務ガイドライン抜粋

簡単に説明すれば、このとおりです。

「電気工事」や「消防施設工事」については、施工するのにそもそも資格が必要ですから、資格をもってないで状態では実務経験として認めません。ということ。

無資格でやっていた経験は認められない。

「解体工事」については、解体業を営む業者には、「解体工事業登録(建設リサイクル法)」か「建設業許可(建築一式、土木一式、とび・土工工事(平成28年5月以前)」が必要ということで、いずれかを取得していない業者での実務経験は認めません。ということ。

業者として、適正に登録や許可を受けていない期間の経験は認められない。

という訳です。

解体工事業者登録

「解体工事業者の登録」は「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(通称 建設リサイクル法)」(環境省)に基づく制度です。

解体工事を営む者は、解体工事現場が所在する都道府県ごとに、「解体工事業者登録」を受けておかねばなりません。

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例えば、これまで自営業で解体工事業を営んでいた経営者さん。
解体工事届については、元請業者の登録番号を記載するため、自身では解体工事業者登録を取得していなかった。
そろそろ受注する金額も大きくなったので、建設業許可を取得しようと思う。
実務経験は10年以上あるので、専任技術者として問題ないはず。
→ 結果、解体登録業者では無いため経験認められず。許可が取れない。

解体工事を営んでいる個人事業や社会については、自社(自身)の工事実績を実務経験として建設業許可を申請しようとする場合には要注意です。

適正に解体工事業者登録を受けていない期間については、実務経験として認められないのです

ただし、現状は、建設業許可申請に際しては、各位自治体窓口によって、取り扱いが若干ことなります。

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各自治体の取り扱い

ガイドラインには、「審査に当たっては十分に注意する。」とありますが、実際の申請にあたっては、それぞれの自治体(大臣許可については地方整備局)で取り扱いがことなります。

以下、調査日(令和4年12月)時点での取り扱いについて紹介します。

東京都

解体登録が無い期間については、仮に工事実績があった場合でも実務経験期間としては認めてもらうことができません。

過去の解体登録の登録状況が照会され、非常に厳格な審査がされます。場合によっては、他都道府県の登録の事実を証明するための資料(登録証のコピーなど)の提出を求められる場合があります。

千葉県

解体登録が無い期間については、仮に工事実績があった場合でも実務経験期間としては認めてもらうことができません。

過去の登録に関する資料については、特に提出を求められていませんが、解体登録がなされていなかった期間については、当然に認めることができないとの扱いです。

神奈川県

解体登録が無い期間については、仮に工事実績があった場合でも実務経験期間としては認めてもらうことができません。

過去の登録に関する資料については、特に提出を求められていませんが、解体登録がなされていなかった期間については、当然に認めることができないとの扱いです。

埼玉県

解体登録が無い期間については、原則として実務経験期間としては認めてもらうことができませんが、始末書等の提出をおこなうことにより、今後の適正な業務を誓約した場合は、工事実績として認める場合があります。

関東地方整備局

現状の取り扱いでは、解体登録と実務経験の期間の整合は審査されません。よって、建設業許可申請として提出する書類に不備等が無ければ、実務経験として認めるとの取り扱いになっています。

まとめ

実務経験は適法に

建設業許可の実務経験を証明する先に「電気工事」「消防施設工事」「解体工事」については、注意が必要です。実務経験を積むうえで、そもそも資格が必要であったり、事業を営む上で登録が必要であったりするのです。

無資格や無登録での実務経験は経験として認められないため、建設業許可を申請する段階になってからでは遅いのです。

建設業許可を実務経験で取得しようとする方は、十分にご注意下さい。

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建設業許可の専門家
リンクス行政書士事務所

牧野高志

牧野高志

建設業許可を専門とする行政書士。15年以上の実務で得た建設業に関する知識、経験を武器に、難解な問題の対処にあたる。業務においては、何よりお客様の話を聞くことを重視し、最善の対応を常に心がけている。二児の父

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牧野高志

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建設業許可を専門とする行政書士。15年以上の実務で得た建設業に関する知識、経験を武器に、難解な問題の対処にあたる。業務においてはヒアリングを重視する。二児の父

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