抜根工事は何工事にあたる?造園工事と土工工事の違い。

質問事例:前
弊社は造園業を営んでおります。剪定は、建設工事にあたらないと言われました。では、枯れ木などを除去するための抜根作業も工事にあたらないのでしょうか。
 

造園業を営まれるなかでおこなわれる作業。建設業許可の観点から、判断に迷うものも少なくありません。

今回は、造園工事のなかでも「抜根作業」について、細かく解説します。

目次

抜根作業は工事?役務提供?

抜根作業については、工事に該当するといえます。

抜根作業とは、地中に張った木の根を除去し、土地を使用可能な状態にするための作業です。

一般的なメイン作業としては、木の周りを掘削し、ある程度木の根を露出させた状態で引き抜く。開いた穴を埋める。というところでしょう。

建設工事とは,現場において行われる次の工事をいう。 (1) 建築物,土木施設その他土地に継続的に接着する工作物及びそれらに附帯する設備を新設,改造,修繕,解体,除却若しくは移設すること。 (2) 土地,航路,流路などを改良若しくは造成すること。 (3) 機械装置をすえ付け,解体若しくは移設すること。

日本産業分類 説明 抜粋

 

抜根作業については、樹木を除去したうえで、土地を平坦に整地する。または再度植栽をするために土壌改良をするという目的でおこなわれます。

抜根を含む作業の目的が、土木的な面、造園的な面があるため、工事といえるでしょう。

抜根作業(工事)は何工事?

では、実際に抜根作業は、何工事に分類されるのでしょうか。

これは、ひいては、抜根作業をするためには建設業許可において何の工事業種を取得すべきかという点に帰着します。

工事の目的で判断

建設業法では、工事の業種をその完成目的によって判断します。

同じ作業をするにしても、その目的が違えば、必要な技術や注力すべき箇所が異なるからです。

この建設工事の内容及び例示は、現実の建設業における施工の実態を前提として、施工技術の相違、取引の慣行等により整理・分類したものであるが、各工事の内容はそれぞれ他の工事の内容と重複する場合もあることに留意すること。

建設業許可事務ガイドライン 抜粋

抜根作業については、以下の目的が考えられます。

【事例1】 抜根して、整地をし、土地を造成して宅地として利用するための工事
【事例2】 抜根して、再度樹木を植えるために土壌改良をするための工事

【事例1】については、工事業種は「とび・土工工事業」に該当すると考えられます。

【事例2】については、工事業種は「造園工事業」に該当すると考えられます。抜根作業においても、周りの植生にも気を配りつつ、また埋め立てる土に肥料や土壌改良材などをまぜるなどの植生の復元の性質が強くなります。

とび・土工工事業

とび・土工工事業とはどんな工事でしょうか。

1.足場の組立て、機械器具・建設資材等の重量物の運搬配置、鉄骨等の組立て、工作物の解体等を行う工事
2.くい打ち、くい抜き及び場所打ぐいを行う工事
3.土砂等の掘削、盛上げ、締固め等を行う工事
4.コンクリートにより工作物を築造する工事
5.その他基礎的ないしは準備的工事

造園工事業

造園工事業とはどんな工事でしょうか。

整地、樹木の植栽、景石のすえ付け等により庭園、公園、緑地等の苑地を築造し、道路、建築物の屋上等を緑化し、又は植生を復元する工事
 

まとめ

抜根作業は目的に応じて判断

抜根作業は、その目的に応じて工事業種を判断しなければなりません。つまり、建設業許可において必要な業種が異なることを理解する必要があります。

関連記事

建設業許可の専門家
リンクス行政書士事務所

牧野高志

牧野高志

建設業許可を専門とする行政書士。15年以上の実務で得た建設業に関する知識、経験を武器に、難解な問題の対処にあたる。業務においては、何よりお客様の話を聞くことを重視し、最善の対応を常に心がけている。二児の父

関連記事

特集記事

広告

牧野高志

牧野高志

建設業許可を専門とする行政書士。15年以上の実務で得た建設業に関する知識、経験を武器に、難解な問題の対処にあたる。業務においてはヒアリングを重視する。二児の父

最近の記事

  1. 抜根工事は何工事にあたる?造園工事と土工工事の違い。

  2. 令和5年7月1日の建設業法施行規則の改正。ポイントは、専任技術者の要件緩和。許可が取れるかも?

  3. 突然、専任技術者がいなくなった。2週間以内で大丈夫?要件と届出期限の勘違い。

  4. 建設業許可における公共工事とは。建設業法で定める発注者の定義を知ろう。

  5. 令和5年1月1日の建設業法施行令改正施行。ポイントは、特定建設業許可の範囲変更と配置技術者の専任配置基準の変更。

  6. 解体工事の実務経験には、解体登録が必要。注意が必要な「電気工事」「消防施設工事」「解体工事」

  7. わかりやすい図解。特定建設業許可が必要な工事とは?

  8. 監査役は、経営経験も積めないし、専任技術者にもなれません。建設業許可と監査役の関係。

  9. 税金滞納。社会保険料未納。雇用保険料未納。建設業許可の更新はできるの?

  10. 資格は無いけど、早く独立して建設業許可を取りたい。10年間のモデルケースを検討。

ランキング

  1. 1

    少額工事でも請負契約書作成は義務。作ってないのは建設業法違反です。

  2. 2

    【建設業許可】建築一式は1500万円まで?リフォーム工事は大丈夫なのか。

  3. 3

    建設業法における解体工事の分類の仕方。必要な許可業種は?

  4. 4

    【建設業許可】請負金額500万円の基準は消費税込?税抜?根拠解説

  5. 5

    【許認可各種】建設会社がいれておくべき定款の目的を紹介。

  6. 6

    建設業許可の無い営業所では、500万円未満でも契約はNG!?

  7. 7

    1つの工事に複数の工事種類が含まれる場合の工事経歴書の記載ポイント

  8. 8

    注文者って誰?元請・下請の違いは?工事経歴書の疑問をピンポイント解説。

  9. 9

    ユニットバスの設置は管工事じゃない!?建設業許可の業種判断。

  10. 10

    500万円未満でも建設業法違反!?無許可業者が注意する4つのこと

目次

TOP