建設業許可における公共工事とは。建設業法で定める発注者の定義を知ろう。

質問事例:後

建設業許可の書類で直前3年の各事業年度における工事施工金額(様式第3号)を作成しているのですが、住宅供給公社さんからの発注工事は公共工事にはいりますか?

建設業許可において、様式第3号(直前3年の施工金額)を作成する際に、実績として集計している工事が、元請工事である時、それが「民間工事」か「公共工事」かを分けて集計する必要があります。

今回のご質問は、「公共工事とはどんな工事なのか」ということを知れば回答できるでしょう。

公共工事か否かを判断する時、判断のポイントは、誰が「発注者(施主)」なのかという点です。

「発注者」が公的機関ならば、それは「公共工事」ということができます。この公的な機関の定義は、建設業法で定められています。

ちなに、住宅供給公社さんの発注する案件は「公共工事」に該当します。

目次

公共工事の判断のポイント

公的な機関が施主であるか

工事が公共工事に該当するか否かについては、その工事の発注者(施主)が誰であるかという点で判断します。つまり、いわゆる「公的な機関」が施主であれば、それは「公共工事」に該当します。

この「公的な機関」については、建設業法で、以下の記載が定義根拠となります。

(経営事項審査)
公共性のある施設又は工作物に関する建設工事で政令で定めるものを発注者から直接請け負おうとする建設業者は、国土交通省令で定めるところにより、その経営に関する客観的事項について審査を受けなければならない。

建設業法第27条の23第1項

 

建設業法第27条の23第1項では、「公共性のある施設又は工作物に関する建設工事で政令で定めるもの=公共工事」を請け負う業者は、「経営事項審査」を受審している業者なければならないと規定されています。

この「公共性のある施設又は工作物に関する建設工事で政令で定めるもの」については、建設業法施行令第45条に規定があります。

(公共性のある施設又は工作物に関する建設工事)
法第二十七条の二十三第一項の政令で定める建設工事は、地方公共団体法人税法(昭和四十年法律第三十四号)別表第一に掲げる公共法人(地方公共団体を除く。)又はこれらに準ずるものとして国土交通省令で定める法人が発注者であり・・・

建設業法施行令第45条(抜粋)

この定義に該当する公的な機関の発注する案件が「公共工事」というわけです。

公的な機関

前述のとおり、公共工事を判断するにあたっては、その発注者が建設業法施行令第45条に定義されている公的な機関であるか否かということになります。

以下、具体的に紹介します。

いわゆる国家機関です。各省庁、出先機関、出張所などがこれに該当します。

地方公共団体

都道府県、市町村がこれに該当します。

法人税法(昭和四十年法律第三十四号)別表第一に掲げる公共法人(地方公共団体を除く。)

沖縄振興開発金融公庫、株式会社国際協力銀行、株式会社日本政策金融公庫、港務局、国立大学法人、社会保険診療報酬支払基金、水害予防組合、水害予防組合連合、大学共同利用機関法人、地方公共団体金融機構、地方住宅供給公社、地方道路公社、地方独立行政法人、独立行政法人(その資本の金額若しくは出資金額の全部が国若しくは地方公共団体の所有に属しているもの又はこれに類するものとして、財務大臣が指定したものに限る。)、土地開発公社、土地改良区、土地改良区連合、土地区画整理組合、日本下水道事業団、日本司法支援センター、日本中央競馬会、日本年金機構、日本放送協会

国土交通省令で定める法人(建設業法施行規則第18条)

公害健康被害補償予防協会、首都高速道路株式会社、消防団員等公務災害補償等共済基金、新関西国際空港株式会社、地方競馬全国協会、東京地下鉄株式会社、東京湾横断道路の建設に関する特別措置法(昭和61年法律第45号)第2条第1項に規定する東京湾横断道路建設事業者、独立行政法人科学技術振興機構、独立行政法人勤労者退職金共済機構、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、独立行政法人中小企業基盤整備機構、独立行政法人日本原子力研究開発機構、独立行政法人農業者年金基金、独立行政法人理化学研究所、中日本高速道路株式会社、成田国際空港株式会社、西日本高速道路株式会社、日本環境安全事業株式会社、日本小型自動車振興会、日本自転車振興会、日本私立学校振興・共済事業団、日本たばこ産業株式会社、日本電信電話株式会社等に関する法律(昭和59年法律第85号)第1条第1項に規定する会社及び同条第2項に規定する地域会社、農林漁業団体職員共済組合、阪神高速道路株式会社、東日本高速道路株式会社、本州四国連絡高速道路株式会社、旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律(昭和61年法律第88号)第1条第3項に規定する会社

元請工事であること

建設業許可関連の書類を作成するうえでは、公共工事は元請工事(施主から工事を依頼された工事)である点に注意です。

公共工事の現場工事を受注する場合でも、それが一次下請・二次下請として民間会社の下請業者として工事を受注する場合には、御社が受注された工事は、「民間」の「下請工事」ということになります。

まとめ

発注者で判断を

公共工事か否かは、その発注者が公的な機関かどうかで判断します。この「公的な機関」の定義は、建設業法施行令第45条で定義されています。

今回のご質問では、「住宅供給公社」さんからの発注案件ですから、「公共工事」に該当するといえます。

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建設業許可の専門家
リンクス行政書士事務所

牧野高志

牧野高志

建設業許可を専門とする行政書士。15年以上の実務で得た建設業に関する知識、経験を武器に、難解な問題の対処にあたる。業務においては、何よりお客様の話を聞くことを重視し、最善の対応を常に心がけている。二児の父

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牧野高志

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建設業許可を専門とする行政書士。15年以上の実務で得た建設業に関する知識、経験を武器に、難解な問題の対処にあたる。業務においてはヒアリングを重視する。二児の父

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