平成28年6月の建設業法改正に伴い、これまでの建設業許可28業種に加えて、新たに「解体工事業」が追加され、建設業許可は29業種となりました。
これにより、以前までの「いわゆる解体工事」の定義が改められ、建設業法上の「解体工事」と一般的な認識にズレが生じました。
今回は、この建設業法における「解体工事」の認識がどのように変わったのか。これまで「いわゆる解体工事」であった工事が、平成28年6月以降、建設業許可においてどのように扱われるようになったのかを説明したいと思います。
また、これに加えて、建設リサイクル法における「解体工事」との相違についても触れたいと思います。
目次
解体工事の分類
平成28年5月以前

平成28年5月以前の法改正前には、「いわゆる解体工事」はすべて「とび・土工工事業」に分類されていました。
ここで言う「いわゆる解体工事」とは、建設業で考え得る解体作業を主たるものとした工事のすべてを指していました。
非常にわかりやすい定義づけといえます。
平成28年6月以降
告示と建設業許可事務ガイドライン

これが、平成28年6月以降は、以下のように告示に定義づけされるようになります。
解体工事=工作物の解体を行う工事
「工作物」の定義については明示はありませんが、建築基準法2条などから、建物、建築設備をすべて含むものと考えることができます。
さらに、建設業許可事務ガイドラインでは、非常に重要な定義づけがされます。
それぞれの専門工事において建設される目的物について、それのみを解体する工事は各専門工事に該当する。総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物や建築物を解体する工事は、それぞれ『土木一式工事』や『建築一式工事』に該当する。
建設業許可事務ガイドライン 抜粋
告示においては、「工作物の解体をおこなう工事」としつつも、建設業許可事務ガイドラインでは、解体工事の対象となる工作物の建設が「専門工事」と判断されるならば、解体するときも同じ業種の「専門工事」と判断しなさいとしています。
建てるときに専門工事の技術が必要なのであれば、壊すときにも専門工事の技術が必要だろうとの規定です。
解体工事は専門工事以外の解体工事
建設業許可事務ガイドラインでは、「専門工事」に該当するならば、業種は各専門工事として取り扱うとしています。
ここで注目すべきは「専門工事」と記載されている点です。
これにより、専門工事以外の「建築一式工事」又は「土木一式工事」で建設された工作物についての解体が、原則、建設業許可における「解体工事」に該当することになります。
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ただし、これには続きがあります。
解体工事に該当する場合でも、「総合的な企画、指導、調整」が必要な大規模・複雑な解体工事である場合には「土木一式工事」又は「建築一式工事」として扱うことも明記されています。(これについては法改正前から同様な扱いでした。)
上記のとおり、平成28年5月以前の「いわゆる解体工事」は、その解体の対象となる工作物により業種の判断をしなければならなくなったというわけです。
解体工事の判別事例
ここでは、「いわゆる解体工事」がそれぞれ、どの建設業許可業種に該当するかについて検討したいと思います。
戸建・マンションの解体工事
戸建やマンションの解体工事については、「原則」建設業許可業種の「解体工事」に該当します。
ただし、マンションなどの解体が「大規模・複雑」で「総合的な企画、指導、調整」が必要な工事である場合は、「建築一式工事」に該当します。
なお、「建築一式工事」と判断される解体工事でも、下請業者として解体工事に参加(請け負う)するのであれば許可業種「解体工事」をもっていればよいのです。
原状回復工事(スケルトン工事)
店舗の退店などに伴って、内装を原状回復する工事には、いわゆるスケルトン工事が発注される場合があります。
内容としては、内装の全撤去ということになるのですが、これについては「内装仕上工事」に該当するといえます。
ただ、部分的な撤去工事であった場合には、各専門業種と判断されます。
| 工事内容 | 許可業種 |
| スケルトン工事 | 内装仕上工事 |
| キッチン設備撤去 | とび・土工工事 |
| 給排水設備・空調設備撤去 | 管工事 |
| 電気設備撤去 | 電気工事 |
| シャッター撤去 | 建具工事 |
ちなみに、建設業許可の業種判断については、複数の業種が含まれる工事においては、その主たる工事で業種判断することになります。
よって、例えばスケルトン工事に各種専門工事の解体が含まれている場合でも、建設業許可業種「内装仕上工事」での受注が可能です。
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街灯の撤去工事
街灯の撤去工事については、「電気工事」が該当します。
街灯の撤去工事には、撤去した後の舗装工事も含まれてくるかと考えますが、建設業許可においては、その主たる工事業種で判断しますので、「電気工事」で受注が可能です。
アスベスト(石綿)除去工事
アスベスト撤去工事については、それのみでは「解体工事」には該当しません。
業種判断についてはかなり難しいところではありますが、以下が参考になります。
吹き付けアスベストの撤去で、除去剤や飛散防止剤を塗布する工事であれば塗装工事
※アスベスト撤去工事でも、このほか内装工事、左官工事などに該当する場合もある建設業許可に関するよくある質問と回答(千葉県)抜粋
業種としては「塗装工事」「内装工事」「左官工事」があげられていますが、セメントに含有されるアスベストを考えれるならば、斫り工事(とび・土工工事)等に該当するものも当然あります。
業種に迷われるのであれば、建設業課に相談するのが賢明です。
解体工事業者登録との相違

建設業許可の業種「解体工事」の判断と、建設リサイクル法における解体工事の判定の違いについても解説しておきます。
同じ「解体工事」といっても、建設業許可での視点と、解体工事業者登録の視点は異なります。
よって、建設業許可では「解体工事」「建築一式工事」「土木一式工事」が必要でなくても、解体工事業者登録が必要な工事が発生する場合もあります。
解体工事とは何を指すのか?
① 建築物:建築物のうち、建築基準法施行令第1条第3号に定める構造耐力上主要な部分の全部又は一部を取り壊す工事。
② 建築物以外の工作物:建築物以外の工作物の全部又は一部を取り壊す工事。環境省 建設リサイクル法 質疑応答(案)抜粋
建設リサイクル法における解体工事は、構造耐力上主要な部分の取り壊しを解体工事としていることから、例えば「屋根版の全部交換」工事については、「構造耐力上主要な部分」に該当するため、その解体撤去には解体工事業者登録が必要とされています。
その他、建設業許可と解体工事業者登録は相違点がありますので、注意が必要です。
まとめ
解体する工作物に注意
平成28年6月以降は、建設業許可における解体工事の定義が変わりました。
今後は、解体する対象の工作物によって建設業許可業種の見極めが必要となりますので、自信に必要な許可業種については、十分に検討下さい。
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