500万円未満でも建設業法違反!?無許可業者が注意する4つのこと

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質問:
当社は、内装リフォーム業を営んでおります。建設業許可はもっていません。同業者から請負金額が500万円未満の工事でも受注すれば違法となる場合があるらしいと聞きました。本当でしょうか?

目次

違法となる場合がある

500万円未満というのは、建設業法でいう「軽微な建設工事」をいいます。内装工事であれば、この基準に満たない工事であれば無許可でも受注することができるといのは正しい知識です。

しかし、法律上問題が無いようにみえて、じつは違法な受注となってしまう場合もあります。

(1)消費税込みで考える。
(2)支給された資材費を含める。
(3)分割発注・追加工事は合算する。
(4)他法令に抵触する。

以上の4つについて考えていきたいと思います。

軽微な建設工事とは

今回のご質問であるとおり、「500万円」という数字について、あらためてご理解頂きたいと思います。

建設業許可において、「軽微な建設工事(軽微な工事)」に該当する工事は、建設業許可を取得していなくても受注することは可能ということになっています。

ただし、政令で定める軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者は、この限りでない。

建設業法 第3条第1項(抜粋)

建設業法第3条第1項においては、一般の建設業許可について規定があります。その但し書きには、「制令で定める軽微な建設工事」については、許可が不要とされおり、この「政令で定める」という部分が、軽微な建設工事の基準が定められた部分です。

この「政令で定める」基準は、建設業の工事業種「建築一式工事」と「それ以外の建設業種」で異なります。

ちなみに、建設業許可業種は29業種に分類されています。

軽微な「建築一式工事」とは

それでは、「建築一式工事」の軽微な工事の基準を紹介します。

施工する工事が「建築一式工事」に該当し、かつ「1500万円未満」又は「木造住宅延べ床150㎡未満」であれば、建設業許可「建築一式工事」が無くとも受注することができます。

軽微な「建築一式工事以外の工事」とは

次に「建築一式工事」以外の建設工事の「軽微な建設工事」の基準を紹介します。

「建築一式工事」以外の建設業種においては、請負金額が500万円未満であれば建設業許可を取得していない業者でも工事の受注が可能です。

今回のご相談については、「内装リフォーム」を営まれているのですから、該当する業種は「内装仕上工事」であり、これについては、500万円未満であれば建設業許可が無くても受注可能と理解されています。

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違法となる4つの場合

500万円未満でも違法となる場合があるとの忠告を受けた相談者。前述の「軽微な建設工事」の基準を踏まえたうえで、ご説明していきたいと思います。

(1)消費税込みで考える。
(2)支給された資材費を含める。
(3)分割発注・追加工事は合算する。
(4)他法令に抵触する。

(1)消費税込みで考える

見積もりなどを行う場合、消費税抜きで算出される場合も多いかと思います。

しかし、建設業法において「軽微な建設工事」を判定する際には、必ず消費税込みでしなければなりません。

消費税抜の460万円でお見積もりを出している場合、消費税込みになれば506万円(消費税10%で計算)となります。よって、建設業許可の必要な工事案件となります。

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(2)支給された資材費を含める

工事の施工に際して、元請業者(又は施主)から工事の資材が支給された場合には注意が必要です。

注文者が材料を提供する場合においては、その市場価格又は市場価格及び運送賃を当該請負契約の請負代金の額に加えたものを第一項の請負代金の額とする。

建設業法施行令 第1条の2第3項

つまり、元請業者(又は施主)が資材の支給をする条件の工事を受注する場合、下請業者(無許可業者)は、受注金額に支給される資材の価格を加えた金額で判断てしなければなりません。

この金額が500万円を超えてしまうと建設業法違反となります。

書面上は500万円未満の請負金額の工事であっても、支給資材の金額を加えれば500万円以上となってしまう場合、それは建設業許可の必要な工事と判断します。

この規定があることによって、受注可能な工事であるかの判断は非常に難しいものになります。

よって、最近では現場に入る下請業者に、建設業許可の取得を義務づけている現場もあります。

実は、このような規定が少なからず影響を与えています。

(3)分割発注・追加工事は合算する

工期が長い現場の場合、月ごとに発注書をわけて下請工事契約を締結することがあります。

そのような場合、各月の請負金額はそれほど高くもないが、現場が終わってみれば総額500万円を超えているという場合もあるでしょう。

じつは、これも建設業許可が必要な工事と言えます。

前項の請負代金の額は、同一の建設業を営む者が工事の完成を二以上の契約に分割して請け負うときは、各契約の請負代金の額の合計額とする。ただし、正当な理由に基いて契約を分割したときは、この限りでない。

建設業法施行令 第1条の2第2項

正当な理由がない場合には、同じ現場の発注金額は合算して判定しなさいよということです。また、この「分割」には、「追加工事」にも含まれます。

受注したときは問題なかったのに、追加工事を含めたら500万円を超えてしまったなんて場合もこれに該当します。

なお、ここにある「正当な理由に基づいて契約を分割」とい部分については、個別判断なので明確な基準は発信されていません。
個人的には、同じ工事現場でも、工事と工事の間隔が半年間程度も離れていて一連の工事として考えるには無理があるような場合はこれに該当するのではないでしょうか。

(4)他法令に抵触する

法律は、建設業法だけではありません。

500万円未満の工事であっても、当該工事を施工するうえで、あらかじめ許可や登録を受けておかねばならない業種の工事もあります。

あらかじめ登録等が必要な業種

・電気工事業(電気工事業者登録)
・解体工事業(解体工事業の登録)
・屋外看板設置工事業(屋外広告業登録)
・浄化槽設置工事(浄化槽工事業登録) etc

上記の事業を営むには、あらかじめ登録が必要となります。

考えるべきは、建設業法だけではありません。

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まとめ

まとめ

建設業許可が必要か否かについて、基準とされている「500万円」について。

これを下回る請負金額で工事を受注した場合でも、無許可業者にとっては法令違反となる場合をご説明しました。

法律を守るということは、受注業者及び発注業者の双方にとって、重要な課題です。

正確な理解を心がけて頂きたいと考えます。

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建設業許可の専門家
リンクス行政書士事務所

牧野高志

牧野高志

建設業許可を専門とする行政書士。15年以上の実務で得た建設業に関する知識、経験を武器に、難解な問題の対処にあたる。業務においては、何よりお客様の話を聞くことを重視し、最善の対応を常に心がけている。二児の父

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牧野高志

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建設業許可を専門とする行政書士。15年以上の実務で得た建設業に関する知識、経験を武器に、難解な問題の対処にあたる。業務においてはヒアリングを重視する。二児の父

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