建設業許可の期限を切らしてしまった場合の対応は?

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質問:
建設業許可の期限が近づいています。更新手続きを行政書士に依頼しようか迷っています。そもそも許可を切らしてしまった場合には、どうなるのでしょうか。また、どう対応したらよろしいのでしょうか。

建設業許可は、許可日から5年でその期限を迎えます。更新手続きをしなければ、そのまま失効してしまうのですが、その場合どのように対処すべきなのでしょうか。

許可期限と提出期限

許可の期限が迫っているのでどうしましょう。という相談は年何回かあります。その場合、焦らず「許可の期限」が迫っているのか「更新の提出期限」が迫っているのかによって緊急性はかなりかわります。まずは、これを確認しましょう。

許可期限

文字通り、建設業許可の有効期限を指します。更新のお手続きをせずに許可の有効期限日を過ぎてしまうと、許可は自動的に失効します。つまり、無許可業者となり、軽微な工事(建設業許可が不要な工事)しか受注することができません。再度許可業者になりたければ、新規に建設業許可申請をする必要があります。

許可期限が迫っているのであれば、1分。1秒を惜しんですぐに更新の準備を行う必要があります。

更新の提出期限

建設業許可の更新手続きの申請期限を指します。これは、「許可期限」の1ヶ月前に設定されています。この日までに更新手続きを済ませて下さいという目安です。

一般的な自治体の取り扱いでは、この「更新の提出期限」を更新をせずに過ぎてしまった業者についても、更新申請を受け付けないということはありません。「許可期限」までに更新の申請手続きをおこなうことができれば、許可を存続(更新)させることができます。
ただし、新しい許可通知書は、許可期限日までに発行されないでしょう。このような場合には、新たな許可通知書が発行されるまでは、従前の許可が有効との扱いになります。

更新の提出期限が過ぎただけと思って、安心してはいけません。一ヶ月後には許可期限が迫ります。急いで準備を進める必要があります。

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許可が切れてしまったら

それでは「許可期限」が切れてしまったら、どうなってしまうのでしょうか。また、何ができて、何ができないのかを理解して、再度許可の取得の準備を進める必要があります。

既に受注済みの工事

失効した旨を2週間以内に通知

許可を切らしてしまった場合に、すでに受注している工事はどうなるのでしょうか。

第三条第三項の規定により建設業の許可がその効力を失つた場合にあつては当該許可に係る建設業者であつた者又はその一般承継人は、第二十八条第三項若しくは第五項の規定により営業の停止を命ぜられた場合又は前二条の規定により建設業の許可を取り消された場合にあつては当該処分を受けた者又はその一般承継人は、許可がその効力を失う前又は当該処分を受ける前に締結された請負契約に係る建設工事に限り施工することができる。この場合において、これらの者は、許可がその効力を失つた後又は当該処分を受けた後、二週間以内に、その旨を当該建設工事の注文者に通知しなければならない。

建設業法第29条の3 第1項

建設業法では、許可の失効前に締結された契約の工事であれば、引き続き施工することができると規定しています。ただし、2週間以内に注文者(発注業者や施主)に対して、許可が無くなってしまった旨の通知をしなければなりません。仮に、注文者が問題ないと判断した場合は、そのまま工事を続けることができます。

発注者の解除は30日以内

許可が失効した場合でも施工ができるというのは、もちろん注文者(発注者や施主)が問題ないと判断した場合に限ります。そのため、以下のような規定が定められています。

建設工事の注文者は、第一項の規定により通知を受けた日又は同項に規定する許可がその効力を失つたこと、若しくは処分があつたことを知つた日から三十日以内に限り、その建設工事の請負契約を解除することができる。

建設業法第29条の3 第5項

工事の注文者は、許可失効の旨の通知を受けた日から30日以内であれば、工事の請負契約を一方的に解除できることになります。

ここで注意しなければならないのは、注文者が請負契約を解除して終わりというわけではなく、これによって発生した損害を請求される可能性があるということです。

無意味(違法)な回避策

建設業許可を失効させてしまった場合、許可の再取得までは無許可業者として工事をしなければんりません。ご存じの通り、工事において受注金額に制限が設けられますので、許可業者として受注していた工事が当然には受注することができません。
そこで、様々な考えを巡らせるかと思いますが、以下に紹介するのは、無意味(違法)な回避策の例です。

見積もりまで準備

許可は再取得するとして、それまでは見積もりまで話を進めておこうとするかもしれません。建設業法では、500万円以上の見積もり行為(請負契約の締結に必要な営業行為)をする場合にも、建設業許可が必要とされています。ついては、許可再取得までの期間はお見積もりの金額にも制限があるため、注意が必要です。

施主の承諾ありでは

建設業法では、いくら施主の承諾があったとしても、無許可業者が軽微な工事(500万円未満)を超える工事を受注することができません

発注を分割してもらう

工事を分割して発注し、一件あたりの金額を軽微な工事の範囲におさえるというのはどうでしょう。これについては、複数発注した工事の合計で判定しなさいという規定があります。よって合計金額が500万円以上であれば無許可業者では受注することができません。

前項の請負代金の額は、同一の建設業を営む者が工事の完成を二以上の契約に分割して請け負うときは、各契約の請負代金の額の合計額とする。ただし、正当な理由に基いて契約を分割したときは、この限りでない。

建設業法施行令 第1条の2 第2項

資材を支給させよう

資材を発注者に支給してもらい請負金額を下げるという方法はどうでしょう。これについても規定があります。規定では、支給された資材は市場価格とその運賃を請負金額に加算して判定しなさいということになっています。よって、支給された資材の価格も含めて500万円以上となってはいけません。

注文者が材料を提供する場合においては、その市場価格又は市場価格及び運送賃を当該請負契約の請負代金の額に加えたものを第一項の請負代金の額とする。

建設業法施行令 第1条の2 第3項

切らしてしまった時の対応

許可を失効させてしまった場合には現在のところ以下の2点しかありません。

● 許可の再取得を急ぐ
● 500万円未満(軽微な工事)で受注

許可の再取得を急ぐ

当然の対応といえます。失ってしまった許可は再取得するほかありません。
なお、再取得した許可においては許可番号が変わります。よって、取引先に再度通知が必要な場合がありますのでご注意下さい。

失効してしまったのが、大臣許可なのであれば、取り急ぎ許可を取得するならば知事許可で申請する方法も考えられます。大臣許可は許可がおりるまでに3ヶ月程度かかるのに対して、知事許可においては長くて1ヶ月半程度です。ひとまず許可を復旧させるという観点で言えばこのような選択もあります。

500万円未満(軽微な工事)で受注

許可が再取得できるまでには、ある程度の期間を要します。当該期間は軽微な工事の範囲を超える工事の受注はできません。先に述べたとおり、分割発注や材料支給等で回避することもできません。

取引先との関係を円満に維持するためには、協力業者・下請け業者などとも連携が必要です。契約関係を入れ替える必要があるかもしれません。部分発注になるかもしれません。ここについては、知恵を絞り、法令の範囲内での適正な運営をこころがけましょう。

許可を切らせないためのアイデア

許可を切らせないためには許可期限の管理が必要です。管理方法は、機械的に行うか習慣にとりいれるかという方法が考えられます。

カレンダーツールの活用

例えば「Googleカレンダー」では5年毎の行事を登録することも可能です。このような便利な無料ツールを使うことでヒューマンエラーを軽減することが大切です。

建設業許可においては、概ね許可期限の3ヶ月前を目安にお知らせさせるように設定するのがポイントです。

DMに目をとおす習慣をつける

建設業許可業者の情報は、公開されているため、許可期限が近づくと行政書士事務所からDM(ダイレクトメール)が届くことがあります。また、最近は、更新の案内が送付される自治体も増えています。普段からDM等に軽く目を通す癖をつけていれば、許可期限に気づくことができるかもしれません。

まとめ

許可期限に注意

建設業許可の期限が失効してしまった場合には、まず焦らず状況を把握しましょう。すでに受注している案件があるならば注文者へ通知が必要です。また、今後の受注計画についても見直しが必要です。

許可の更新を失念してしまったばかりに大きな損害を被る場合もあります。許可期限の管理には十分に注意しましょう。

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建設業許可の専門家
リンクス行政書士事務所

牧野高志

牧野高志

建設業許可を専門とする行政書士。15年以上の実務で得た建設業に関する知識、経験を武器に、難解な問題の対処にあたる。業務においては、何よりお客様の話を聞くことを重視し、最善の対応を常に心がけている。二児の父

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牧野高志

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建設業許可を専門とする行政書士。15年以上の実務で得た建設業に関する知識、経験を武器に、難解な問題の対処にあたる。業務においてはヒアリングを重視する。二児の父

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