ユニットバスの設置は管工事じゃない!?建設業許可の業種判断。

質問事例:後
質問:
建設業許可の管工事をもっています。この度、経営事項審査で受審した際、ユニットバス設置工事を管工事の実績から除外するように指導されました。なぜ管工事ではないのでしょうか。

今回は、建設業許可における業種の判断についてのご質問といえます。

建設業許可は全部で29業種に分類されています。

建設業法では工事は29業種のいずれかに分類されることになりますので、許可を受けていない業種の工事で500万円以上(軽微な工事を超える規模)の工事の受注をしてしまうと建設業法違反となります。

今回は、ユニットバス設置工事の業種判断についての質問です。

水廻りの工事といえば管工事と考えるのも必然でしょう。しかし、これが必ずしも正解とは限らないのです。この記事では建設業許可の業種の判別の考え方から、ユニットバス設置工事が何工事に該当するかについて、解説したいと思います。

ユニットバス設置は、とび・土工

結論から言えば、ユニットバスの設置工事については、「とび・土工・コンクリート工事」に該当します。

理由は、ユニットバスを設置することが主たる目的の工事だからです。さらに言えば、ユニットバスの設置工事の主たる内容は、ユニットの据付け工事だからです。

建設業法における対象工事の業種判断は、何を目的にしているかという点から判断します。この点を理解頂くために、「主たる工事」と「附帯工事」の考え方をご理解頂きたいと思います。

業種の判断方法

業種判断に際しては、以下の基本となる考え方を抑える必要があります。

主たる工事と附帯工事

業種判断においては、その工事の「主たる工事」で判断することになっています。

工事においては、様々業種の工事が混在して完成するすることが多いもの。では、この様々な複数の工事業種が混在している工事は、いずれの業種として判断すべきなのでしょうか。

まずは知っておいて頂きたいのは、この「主(しゅ)たる工事」と「附帯(ふたい)工事」の考え方です。

「主たる工事」とは、工事において目的とする業種の工事を指します。

例えば、内装のリフォーム工事を考えた場合、内装をリフォームするための工事(目的とする工事)について、床や壁材の貼り替え・クロス工事に加えて、電源を増設する工事や、換気扇の場所を変える工事、ドアの取り付けをする工事などが発生するとします。

工事業種としては内装工事、電気工事、電気工事、管工事、建具工事などでしょう。

工事の考え方としては、内装を改修(リフォーム)するため(目的)に、その他の各種工事が必要に応じて発生すると考えますので、内装工事が「主たる工事」に該当し、必要に応じて発生する電気工事・管工事・建具工事などは「附帯工事」と判断できます。

建設業者は、許可を受けた建設業に係る建設工事を請け負う場合においては、当該建設工事に附帯する他の建設業に係る建設工事を請け負うことができる。

建設業法 第四条

この条文は、許可を取得している業種の工事を請け負う時。つまり、目的の工事(主たる工事)が許可を受けている時、それに附帯する他業種の工事をまとめて許可された業種の工事として請け負ってよいとするものです。

逆に言えば、附帯工事の許可を取得していたとしても、「主たる工事」の許可業種を取得していなければ工事を受注することはできないということです。

以上の通り、その工事を受注するにあたり、何か「主たる工事」なのかを判断することは非常に重要なことであるのです。

附帯工事とは

主たる工事を判断するには「附帯工事」について知っておく必要があります。

ここでは、附帯工事についてもう少し詳しく説明していきます。

附帯工事とは、主たる建設工事を施工するために必要を生じた他の従たる建設工事又は主たる建設工事の施工により必要を生じた他の従たる建設工事であって、それ自体が独立の使用目的に供されるものではないものをいう。

建設業許可事務ガイドライン 抜粋

簡単に言い換えれば、附帯工事とは、主たる工事を完成させる目的のために、必要上一緒にやらなければならない工事という理解です。

上記の附帯工事の考え方を参考にすれば、主たる工事がどの工事内容であるか判別できると思います。

ユニットバス設置工事

建設工事は元請業者から下請け業者までが、数次にわたって構成され、施工されます。

ここで注意したいのが、元請・下請の建設業者で、主たる工事は異なってくるということです。

今回は、受注した工事内容が「ユニットバス設置工事」ということで、業種考えてみましょう

工事内容の分析

工事の内訳
主たる工事:ユニット据付け工事
 附帯工事:配管接続工事
 附帯工事:配電工事
 附帯工事:防水工事

施主の工事目的としては、ユニットバスを設置したい。ということになります。

ユニットバスを設置するためには、設置工事の他に、配管の接続工事や防水工事、電気パネルのための電源工事が必要になると考えます。

ユニットバス設置の主たる工事とは

施主から依頼された元請業者は、ユニットバスの設置工事として工事を受注するわけですから、これが主たる工事の判断に係る工事内容となります。

ユニットバスの特殊性としては、通常の浴室造作工事とは異なり、ユニット(組み立てられる箱)をはめ込み、固定するだけで、浴室が完成するビルドインという点です。主たる工事内容としては、基礎・ボルト・アンカー固定となります。

これは、建設業許可業種の「とび・土工・コンクリート工事に該当します。

※もちろん仕上げという点で、細かい大工工事や内装仕上工事を伴う工事ではあります。

とび・土工・コンクリート工事
ホ その他基礎的ないしは準備的工事

昭和 47 年建設省告示第 350 号

下請業者の主たる工事は

ユニットバスの設置工事を受注した工事業者は、配管工事と電気工事、防水工事をそれぞれ下請け業者へ発注するかもしれません。

その場合、配管工事を発注された業者は、主たる工事は「管工事」となりますし、電気工事を発注された下請け業者の主たる工事は「電気工事」になります。防水工事についても同じことが言えます。

配管工事を伴うユニットバス設置工事の検討

ユニットバス設置工事は管工事業者が受注することが多いでしょう。なぜなら、大規模なリフォームに伴って、風呂場の場所を変更(配管を変更)した上で、ユニットバスを設置するという工事を発注されることも多々あるからです。

ここについて、検討してみたいと思います。

検討

当該工事にあたっては、主たる工事となりえるのでは?という工事が2つ存在します。

1つは、リフォームに伴う給排水管の再配管工事。もう1つはユニットバス設置工事ということになります。

建設業法においては、1つの工事を分割して考えることはできませんから、いずれの業種となるか判断する必要があります。

本来の解釈で言うのならば、ユニットバスの設置のための再配管工事であるのならば、とび・土工工事が主たる工事で、管工事が附帯工事といえるでしょう。

ここにおいて、再配管工事(附帯工事)のほうが工事金額が高額になるケースも考えられます。

これに対して静岡県の建設業許可の手引きでは、以下のように記載があります。

建設工事の注文者の利便、建設工事の請負契約の慣行などを基準とし、当該建設工事の準備、実施、仕上げなどにあたり、一連又は一体の工事として施工することが必要または相当と認められるか否かが総合的に検討されるもので、主たる工事と当該工事との工事費の多寡によって定まるものではありません。

静岡県 建設業許可の手引き 抜粋

金額によっての単純な判断では無く、合理的に判断するべきであるといえそうです。

考え方からいえば、「とび・土工・コンクリート工事」に該当すると判断できるのではないでしょうか。

現状の取り扱い

上記の通り検討したものの、現状の取り扱いについて説明を申し上げます。

東京都などにおいては、経営規模等評価申請(経営事項審査)において、工事件名「ユニットバス工事」という文言で判断するならば「とび・土工・コンクリート工事」と判断されます。
ただし、その内訳から大部分に再配管工事などの内容が確認できる場合は、管工事として認めて頂くことも可能です。

まとめ

ユニットバス設置工事に注意

ユニットバス設置工事については、判断に迷う工事業種の一つといえます。

今回の質問を頂いた建設業者と同様、管工事業者がその施工を請け負うことが非常に多い工事です。

なぜなら必ず附帯工事で給排水管への接続工事が含まれてくるからです。

かつ、ユニットバス自体が高価なものですから、商品価格とあわせて請負金額が500万円を超えてしまう場合もあるでしょう。

現行の建設業法ではこのような判断をしますので、十分な注意が必要です。

ユニットバス工事を得意とする浴室リフォームを請け負う会社は、「管工事」に加えて「とび・土工・コンクリート工事」の業種の取得をぜひ検討頂きたいと思います。

ちなみに、システムキッチンについても同様の質問がよくありますが、これも「とび・土工・コンクリート工事」該当することが多くありますのでご注意を。

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建設業許可の専門家
リンクス行政書士事務所

牧野高志

牧野高志

建設業許可を専門とする行政書士。15年以上の実務で得た建設業に関する知識、経験を武器に、難解な問題の対処にあたる。業務においては、何よりお客様の話を聞くことを重視し、最善の対応を常に心がけている。二児の父

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建設業許可を専門とする行政書士。15年以上の実務で得た建設業に関する知識、経験を武器に、難解な問題の対処にあたる。業務においてはヒアリングを重視する。二児の父

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