公共下水道工事に必要な建設業許可とは。土木一式、管工事、とび土工?

質問事例:後

質問:
弊社は、下請け業者として公共下水道管工事の現場に入ります。公道下の下水道工事は、土木一式工事になると手引きで読みました。建設業許可の管工事では受注できないのでしょうか。

今回は、下水道工事、とくに公道下の下水道工事について、説明します。

建設業許可の手引きでは、公道下の下水道工事は「土木一式工事」と分類されております。

ただし、御社が「元請工事業者」なのか「下請工事業者」として現場に入るのか。どんな工種を施工するのかによっても必要な建設業許可業種は違ってきます。

公道下の下水道工事に関する工事を受注する場合に必要な建設業許可業種について、各工種ごとに説明します。

また、後半では、下水道工事における「管工事」「土木一式工事」「水道施設工事」の違いについても触れたいと思います。

公共下水道工事の考え方

公道下の下水道についは、元請業者として一式請け負うとすれば、それは「土木一式工事」となります。

しかし、下請け工事として現場に入る場合は、施工する工事内容によって必要な工事業種が異なります。

今回の場合でいえば、ご質問者様は、施工内容に対応した許可業種を取得できていればよく、「土木一式工事」は必要ありません。

建設業許可事務ガイドライン

公道下の下水道工事については、建設業許可事務ガイドラインに以下の記述があります。

公道下等の下水道の配管工事及び下水処理場自体の敷地造成工事が『土木一式工事』であり、家屋その他の施設の敷地内の配管工事及び上水道等の配水小管を設置する工事が『管工事』であり、上水道等の取水、浄水、配水等の施設及び下水処理場内の処理設備を築造、設置する工事が『水道施設工事』である。

建設業許可事務ガイドライン 抜粋

上記の記載から、公道下の下水道管工事については、下請け業者も建設業許可「土木一式工事」を取得していなければならないと考えがちですが、それは誤りです。

上記の記載は、元請業者として公道下等の下水道管工事の一式を受注する場合には、「土木一式工事」が必要という記載です。一式で受注した元請業者は、下請け業者へ各専門業種を下請工事として外注することになります。

よって、下請け業者で施工する場合には、外注された工事の内容に応じて、必要な専門許可業種が異なると言うことです。

一式工事と専門工事

ここでは、理解を深めるために「一式工事」と「専門工事」とは何かについて説明します。

建設業許可の29業種は、2つの「一式工事」業種と27の「専門工事」業種からなります。この「一式工事」と「専門工事」では原則的な考え方が異なります。

一式工事(建築一式工事)(土木一式工事)

一式工事とは、原則として元請業者の立場で総合的な企画、指導、調整の下に複数の下請業者によって施工される大規模かつ複雑な工事をいいます。つまり、「建築一式工事」や「土木一式工事」は元請業者の立場で、下請け業者を総合的に指導調整する場合に必要な許可業種です。

例えば、土木一式工事では、ダム、橋梁、空港、トンネル、大型プラント、高速道路、公道下の下水道、農業用水路の築造などが該当します。建築一式工事では、建物の一棟を建築する工事がこれに該当します。

専門工事(他27業種)

専門工事とは、一式工事に該当する2業種以外の業種をいいます。現在の建設業法では、元請工事・下請工事に関わらず、一式工事に該当しない工事の場合は、必ず27業種のいずれかの専門工事業種に判別されることになります。

つまり、一式工事は原則として元請業者の立場で行う工事ですので、下請け業者が必要な許可業種は専門工事の許可業種のいずれかということになります。

許可業種と施工内容

ここでは、元請又は下請業者として公共下水工事を施工するにあたる場合、許可業種からその対象となる施工内容を解説したいと思います。

土木一式工事

公共下水道工事において、施主とは公共自治体の水道局等がこれにあたると思います。この公共自治体と工事請負契約を締結する立場である業者(元請業者)に必要な許可です。工事全体の総合的な企画や調整を行い、下請け業者を使って工事を完成させることを目的とします。

専門工事

管工事

下請け業者として工事を施工し、下水道管の接続、撤去、管内の更生工事などを主な工事内容として担当する場合には、管工事の許可業種が必要になります。

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とび・土工・コンクリート工事

下請け業者として工事を施工し、地中にある下水管を露出させるため、地盤の掘削や、埋め戻し、コンクリート打設、地盤改良等を行う工事や、道路上にあるガードレール(道路付属物)の撤去・設置などを主な工事内容として行う場合にはとび・土工・コンクリート工事が必要な許可業種となります。

舗装工事

下請け業者として工事を施工し、アスファルト、コンクリート、ブロック等によって道路面を舗装する工事を主な工事内容として受注する場合には舗装工事業が必要な許可業種となります。

間違えやすい「水道施設工事」

建設業許可業種には「水道施設工事」という業種があります。

当該業種は、主に上水道本管の配水設備・施設工事や下水でも浄水処理施設などの工事に該当する場合に必要な業種です。

管工事や土木一式工事と混同してしまうことも多い業種ではありますが、理解の仕方として、「水道施設工事」は、「公共」の水質管理が必要な設備・施設関連の工事と理解するとわかりやすいでしょう。

よって、個人の土地内で伸びる枝管・浄化槽工事などは管工事に該当することになりますし、公道下の下水道管は土木一式工事に該当することになります。

まとめ

必要な許可業種

公道下の下水道管の工事については、総合的なスケジュール・時間帯・資材搬入等の調整の上で施工する必要のある複雑な工事といえます。よって、ガイドラインにおいても土木一式工事に該当すると記載されています。

ただ、今回のご質問に関しては、下請工事業者として現場を施工されますので、その工事内容に応じての専門工事業種を取得していれば問題ありません。

昨今においては工事内容も複雑化し、該当する工事業種を判定することが難しくなっております。受注の際は気をつけて頂ければ幸いです。

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建設業許可の専門家
リンクス行政書士事務所

牧野高志

牧野高志

建設業許可を専門とする行政書士。15年以上の実務で得た建設業に関する知識、経験を武器に、難解な問題の対処にあたる。業務においては、何よりお客様の話を聞くことを重視し、最善の対応を常に心がけている。二児の父

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