自分で建設業許可申請をする際に、役立つ実用書はどれなのか。実際に読んでみた書籍を紹介。

実務知識

建設業許可申請を自分でやってみたいと思う方も多いはず。

そこで、15年以上建設業許可事務に携わってきた行政書士が、「初めて建設業許可申請をおこなう方に、おすすめできる書籍はないか」という視点で、書籍を読んでみました。

ご自身で申請をお考えの方にぜひ参考にして頂けたらと思います。

目次

建設業許可申請に役立つ書籍

建設業許可の手引き【必須アイテム】

最初にどうしても、お伝えたかったのがコレ。

建設業許可申請を考えうえで、必ず入手しなければならい書籍(?)を紹介します。

それは、各自治体・地方整備局ごとに作成している「建設業許可の手引き」です。

建設業許可事務を扱う者は、初心者・玄人・一般人・行政書士に限らず、必ず入手しなければなりません。

そして、必ず申請先の自治体・地方整備局の発行している「建設業許可の手引き」を入手することが大切です。

理由は、申請先によって求められている書類が少しずつ異なるからです。

市販されている「初心者でもわかる~」「はじめての~」のような実務書は、どうしても一般的な共通事項の内容説明になっていますので、実務情報としては不足してしまいます。

申請までおこなうとすれば「建設業許可の手引き」は必須アイテムといえます。

入手方法の基本は、ウェブ上からダウンロードするのが一般的です。

検索バーで「自治体・地方整備局名」と「建設業許可 手引き」で検索をします。

各自治体の建設業許可の担当部署のページからダウンロードすることができるのですが、手引きは、100ページ程度からなりますので、印刷して読みやすい状態で傍らに置くのがおすすめ。

手引きは、昔に比べて格段に読みやすくなっていますが、それでも網羅的に記載されているためか、初心者がいきなり読んでとりかかるには、少しハードルが高いかもしれません。

そんな時には、市販されている書籍を先に読んで、手続きのイメージをつくってから手引きに入るのが効率的です。

建設業許可が誰でも簡単に申請できるようになる本【心得】

こちらの書籍は、社会保険労務士・行政書士の浜田佳孝先生が書かれた書籍です。

令和2年10月の法改正に対応しています。

建設業許可要件の概要(とくに埼玉県知事許可を念頭に。)が口語調で解説されており、はじめての相談者に対して、目の前で行政書士が説明してくれているような感覚です。

当該書籍の肝は、申請に際しての「心得」のようなものを知ることができる点です。

なかなかこの書籍一冊で申請までというのは難しいと思うのですが、イメージをつくることで、手引き書が読みやすくなるかもしれません。

ちなみに、表紙のイラストとは裏腹に、内容にイラストはほぼありませんのでご注意

建設業法のツボとコツがゼッタイにわかる本【わかりやすい】

建設業法のツボとコツがゼッタイにわかる本

新品価格
¥1,980から
(2022/4/4 19:02時点)

当該書籍は、行政書士法人名南経営。行政書士大野裕次郎先生、行政書士寺嶋紫乃先生が書かれた書籍です。

令和2年10月の法改正に対応しています。

Q&A方式で記載された本書は、他の実務書に比べて、大変わかりやすいのが特徴で、かつ根拠条文も肝心なところが掲載されています。

建設業許可申請に直接関連するQ&Aは少ないものの、建設業許可を扱う担当者であれば、許可取得前、許可取得後を通じてぜひ一読をおすすめする書籍です。

許可申請の実務書というわけではないので、これ一冊で申請手順がわかるようなものではありませんが、手引きをより熟読された方が、ぶつかる疑問の回答がここにあるかもしれません。

各Q&Aの冒頭に2匹のカエルの会話があるのですが、導入としては秀逸で、思った以上に楽しく読めました。

改訂版 建設業 許可・経審・入札参加資格申請ハンドブック

当該書籍は、行政書士 塩田英治先生が書かれた書籍です。

令和3年4月施行の法改正に対応しているのがありがたい。

どのように変わったか、にも触れながら説明されているので、すでに許可をもっている業者にも良いかも。

内容としては、「建設業許可」から、入札に参加するまでの「経営事項審査」「入札参加資格申請」までが記載されているのですが、「建設業許可」の申請に関するページが多くを占めますので、許可申請の実用書として十分に使うことができます。

この書籍では、建設業許可の種類や、要件、集める書類等という流れで説明されているので、一から建設業許可のことを順を追って知りたい初心者にとっておすすめです。

手引きに書かれた硬い表現をいきなり読むよりは、多少イメージがつきやすい表現にして頂いているこちらの書籍を一読してからのほうが、内容を理解しやすくなると思います。

イラストや図解は少ないのですが、非常に身になる実用書です。

そして、なによりこの書籍に掲載されている「コラム」が役に立つ(一見の価値あり)

実はこっちの「コラム」に本来の価値があるのではと個人的に思っています。

まとめ

手引きの補助として

建設業許可申請においては、まず手引きを入手することが最初のステップとなります。

先にも述べましたが、建設業許可の必要書類については、その申請先の自治体・地方整備局で少しずつことなりますので、これが記載された手引き書は欠かすことができません。

また、昨今、建設業法及び関連法令が頻繁に改正されていますので、どうしても市販の書籍では法改正に対応していない場合もあります。

したがって、手引き書は、申請先の発行する最新のモノを入手して下さい。これは、私たち行政書士がお手続きする場合も同じなのです。

手引きを読み進める中で、理解が難しいなどの場合には、市販されている実用書を読んでみるという使い方がよろしいと思います。

関連記事

建設業許可の専門家
リンクス行政書士事務所

牧野高志

牧野高志

建設業許可を専門とする行政書士。15年以上の実務で得た建設業に関する知識、経験を武器に、難解な問題の対処にあたる。業務においては、何よりお客様の話を聞くことを重視し、最善の対応を常に心がけている。二児の父

関連記事

特集記事

広告

牧野高志

牧野高志

建設業許可を専門とする行政書士。15年以上の実務で得た建設業に関する知識、経験を武器に、難解な問題の対処にあたる。業務においてはヒアリングを重視する。二児の父

最近の記事

  1. 抜根工事は何工事にあたる?造園工事と土工工事の違い。

  2. 令和5年7月1日の建設業法施行規則の改正。ポイントは、専任技術者の要件緩和。許可が取れるかも?

  3. 突然、専任技術者がいなくなった。2週間以内で大丈夫?要件と届出期限の勘違い。

  4. 建設業許可における公共工事とは。建設業法で定める発注者の定義を知ろう。

  5. 令和5年1月1日の建設業法施行令改正施行。ポイントは、特定建設業許可の範囲変更と配置技術者の専任配置基準の変更。

  6. 解体工事の実務経験には、解体登録が必要。注意が必要な「電気工事」「消防施設工事」「解体工事」

  7. わかりやすい図解。特定建設業許可が必要な工事とは?

  8. 監査役は、経営経験も積めないし、専任技術者にもなれません。建設業許可と監査役の関係。

  9. 税金滞納。社会保険料未納。雇用保険料未納。建設業許可の更新はできるの?

  10. 資格は無いけど、早く独立して建設業許可を取りたい。10年間のモデルケースを検討。

ランキング

  1. 1

    少額工事でも請負契約書作成は義務。作ってないのは建設業法違反です。

  2. 2

    【建設業許可】建築一式は1500万円まで?リフォーム工事は大丈夫なのか。

  3. 3

    建設業法における解体工事の分類の仕方。必要な許可業種は?

  4. 4

    【建設業許可】請負金額500万円の基準は消費税込?税抜?根拠解説

  5. 5

    【許認可各種】建設会社がいれておくべき定款の目的を紹介。

  6. 6

    建設業許可の無い営業所では、500万円未満でも契約はNG!?

  7. 7

    1つの工事に複数の工事種類が含まれる場合の工事経歴書の記載ポイント

  8. 8

    注文者って誰?元請・下請の違いは?工事経歴書の疑問をピンポイント解説。

  9. 9

    ユニットバスの設置は管工事じゃない!?建設業許可の業種判断。

  10. 10

    500万円未満でも建設業法違反!?無許可業者が注意する4つのこと

目次

TOP