
建築基準法33条では「高さ20mをこえる建築物には、有効に避雷設備を設けなければならない。」と規定されています。
今回、避雷針設置工事が建設業法でどの業種に該当するか。つまり建設業者としてどの業種の許可を取得するべきなのかについて整理したいと思います。
また、避雷針工事は雷(電気)の通り道をつくる工事といえます。工事するにあたり電気工事業法(正式名:電気工事業の業務の適正化に関する法律)の登録(通知)電気工事業者にあたるかについても説明したいと思います。
避雷針工事の業種

避雷針工事の業種を考えるにあたって、まずは、工事の内容を考えてみましょう。
避雷針設備の名前
説明するにあたり、避雷針設備の名前を確認します。

避雷設備は、先端に雷を誘導する「突針」。高さを調節するための「支持管」。支持管を固定するための「支持金具」及び電流を誘導するための「導線」及び逃がすための「導体」から構成されます。
業種の判断
避雷設備を設置するにあたり、概ね3つの業種の工事が必要と考えられます。
電気工事
避雷針事態がそもそも通電を想定した設備です。導線の配線や導体の設置はもちろんのこと、他の電気設備と干渉しないような全体的な調整が必要となります。ついては、避雷針の設置工事を全体的に判断すると「電気工事」と判断して良いと考えます。

東京都の手引きでは「ネオン設置工事(避雷針工事)」と記載してありますが(国交省のガイドラインには記載されておりません)、これは、一定の広告塔には個別に避雷針の設置義務があり、そのなかでもネオン装置工事については通電してるため、避雷器(回路)との関係上電気工事的施工が不可欠だからと言えます。
鋼構造物工事
鋼材を加工又は組立により避雷設備の支持管を築造する工事は、「鋼構造物工事」といえます。例えば、工事を受注する際に、導線・導体部分はそのままで、避雷針の上物の築造を請け負う場合に「鋼構造物工事」に該当します。
とび・土工工事業
避雷針の設置工事の中でも、支持金具による固定(例えばアンカー工事)、土台の作成(コンクリート工事)又は鋼材の加工を伴わない組立だけを目的とした設置の場合には、「とび・土工工事業」に該当するといえます。
部分的な受注に注意
ここで補足です。さきほど説明した「鋼構造物工事」と「とび・土工工事」の違いについて、建設業許可事務ガイドラインでは以下のように説明されております。
『とび・土工・コンクリート工事』における「鉄骨組立工事」と『鋼構造物工事』における「鉄骨工事」との区分の考え方は、鉄骨の製作、加工から組立てまでを一貫して請け負うのが『鋼構造物工事』における「鉄骨工事」であり、既に加工された鉄骨を現場で組立てることのみを請け負うのが『とび・土工・コンクリート工事』における「鉄骨組立工事」である。
建設業許可事務ガイドライン 抜粋
つまり、鋼材の製作・加工から請け負うか、組立だけを請け負うかで「とび・土工工事業」か「鋼構造物工事業」か判断することになります。
このように、避雷針に関連する工事について、部分的な工事を受注する場合には注意が必要といえます。
電気工事業法との関係

電気工事を受注するにあたり、建設業許可に加えて必要とされるのが電気工事業法(正式名:電気工事業の業務の適正化に関する法律)に規定される電気工事業者登録(通知)です。
避雷針工事については、必要ないという点でご説明します。
電気工事業法での「電気工事」とは
電気工事業法では、「電気工事」の定義が建設業法と異なります。
ついては、建設業法で電気工事に該当する場合でも、電気工事業法では電気工事に該当しない場合が考えられます。避雷針工事については、これに該当するといえます。
この法律において「電気工事」とは、電気工事士法(昭和三十五年法律第百三十九号)第2条第3項に規定する電気工事をいう。
電気工事業の業務の適正化に関する法律 第2条
この法律において「電気工事」とは、一般用電気工作物等又は自家用電気工作物を設置し、又は変更する工事をいう。ただし、政令で定める軽微な工事を除く。
電気工事士法 第2条第3項
電気工事業法では、工事の対象を「一般用電気工作物」と「自家用電気工作物」としています。この「一般用電気工作物」と「自家用電気工作物」は、他者(発電・送電設備)からの受電を前提にしているため、いわゆる活電ではない避雷針工事については、「一般用電気工作物」「自家用電気工作物」に該当しません。
登録(通知)は不要
上記の理由から、電気工事業者登録(通知)は不要と言えます。
ただし、避雷針工事については、その性質上、他の電気設備との調整などから電気的な技術が必要不可欠です。ついては、電気工事業者登録(通知)業者が施工するというのが一般的になっています。
まとめ

避雷針工事は、電気、鋼構造物、とび工事
避雷針工事は全体としては「電気工事」に該当します。ただし、部分的な工事については「鋼構造物工事」「とび・土工工事」に該当するため、注意が必要です。
また、電気工事業法に規定する電気工事には該当しないため、電気工事業者登録(通知)は不要です。
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