【建設業法まとめ】おさえておきたい建設業者の9つの義務

建設業法の知恵
知らないとやばいかも。

建設業を営むうえで、知っておきたい建設業法の重要ポイントを紹介します。自社の義務を確認するのはもちろん、元請業者との取引の中で知っておくと役に立つ法律知識もあります。建設業者は一読をおすすめします。

【建設業者全般】建設工事の請負契約の内容(建設業法第19条) 

工事契約を締結する際には、書面で請負契約書(注文書・請書)を交わさなければなりません。施主、元請業者、下請業者、孫請業者、金額の大小に関わらずこの規定は適用されます。

建設業はトラブルの多い業種です。トラブルが起こることは仕方ありません。おこってしまった際にどのような取り扱いをするかあらかじめ決めておくという点で、契約書は非常に重要といえます。

建設工事の請負契約の当事者は、前条の趣旨に従つて、契約の締結に際して次に掲げる事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。

建設業法第19条

請負契約については、記載すべき15項目が定められています。また解体を伴う工事については、建設リサイクル法に関する項目も考慮する必要があるため、契約書作成の際は注意が必要です。

また、書面契約に代えて、CI-NET等による電子契約も認められます。「電磁的措置による建設工事の請負契約の締結に係るガイドライン(令和7年9月30日、国土交通省)」最近では、印紙代金の節税、保存の容易さから、電子契約を導入している建設業者もかなり増えた印象です。

【建設業者全般】建設工事の見積もり等(建設業法第20条第3項) 

見積もり

元請業者(注文者)が下請業者へ見積もりを依頼する場合には、適正な見積準備期間を設けなければなりません。

建設工事の注文者は…(中略)建設業者が当該建設工事の見積りをするために必要な期間として政令で定める期間を設けなければならない。

建設業法第20条第3項 抜粋

具体的な期間は「建設業法施行令第5条の9」で定められています。

予定価格が500万円未満 中1日以上
予定価格が500万円以上5,000万円未満

中10日以上(やむをえない場合は5日まで短縮可)

予定価格が5,000万円以上 中15日以上(やむをえない場合は10日まで短縮可)

では、見積もり期限の具体的な算出例をご紹介します。

  • 例えば、4月1日に契約内容の提示→「中1日以上」→期限は4月3日以降
  • 例えば、4月1日に契約内容の提示→「中10日以上」→期限は4月12日以降
  • 例えば、4月1日に契約内容の提示→「中15日以上」→期限は4月17日以降

なお、やむを得ない事情があるときに限っては、「中10日以上」「中15日以上」は5日以内で期限を短縮することができます(建設業法施行令 第5条の9)。また、土日祝日についての記載はありませんので、休日等は考慮に入れなくても良いことになっています。

【一般・特定建設業許可業者】一括下請負の禁止(建設業法第22条) 

禁止

建設業許可業者は、下請業者へ一括下請け(いわゆる丸投げ)をしてはいけません。

建設業者は、その請け負つた建設工事を、いかなる方法をもつてするかを問わず、一括して他人に請け負わせてはならない。

建設業法第22条

とくに建設業許可を取得したばかりの業者は注意が必要です。(それまでのやり方が通用しない場合があります。)また、これに関連して、技術者の現場配置についても確認しておく必要があります。(建設業法第26条)

【一般・特定建設業許可業者】下請代金の支払(建設業法第24条の3) 

支払い

元請負人は、請負代金の出来形部分に対する支払又は工事完成後における支払を受けたときは、当該支払の対象となつた建設工事を施工した下請負人に対して、当該元請負人が支払を受けた金額の出来形に対する割合及び当該下請負人が施工した出来形部分に相応する下請代金を、当該支払を受けた日から一月以内で、かつ、できる限り短い期間内に支払わなければならない。

建設業法第24条の3第1項

建設業許可業者である元請負人(二次下請、三次下請契約についての「元請負人」もこれに該当)は、注文者から請負代金の一部または全部の支払を受けたときは、下請負人に対し、支払を受けた出来形に対する割合および下請負人が施工した出来形部分に応じて、支払を受けた日から1ヶ月以内に下請代金を支払わなければなりません。

ポイントの1つとして、元請の立場で、発注者と一部前金で工事契約を締結している場合であっても、必ずしも外注先の下請業者に前金払いを義務づける規定にはなっていません。それは、当事者の契約次第といえます。

なお、支払いルールについては、特定建設業許可業者については、50日ルールがありますので注意が必要です。(建設業法第24条の6)

【特定建設業許可業者】特定建設業者の下請代金の支払期日等(建設業法第24条の6) 

特定建設業者が注文者となつた下請契約(下請契約における請負人が特定建設業者又は資本金額が政令で定める金額以上の法人であるものを除く。以下この条において同じ。)における下請代金の支払期日は、第二十四条の四第二項の申出の日(同項ただし書の場合にあつては、その一定の日。以下この条において同じ。)から起算して五十日を経過する日以前において、かつ、できる限り短い期間内において定められなければならない。

建設業法第24条の6

当該規定は、特定建設業者が請負契約の注文者となる場合の下請業者への支払いに関する規定です。(なお、下請業者が「特定建設業者」又は「資本金が4,000万円以上」の場合は対象外です。)

特定建設業者が元請負人となったとき、下請契約における下請代金を、検収完了後の下請負人の引渡しの申出の日(特約がなされている場合は、その一定の日。)から起算して50日以内に支払わなければなりません。

【特定建設業許可業者】施工体制台帳及び施工体系図の作成等(建設業法第24条の8) 

施工体系

特定建設業許可業者は、いわゆる特定建設業許可が必要な工事(元請で下請契約の請負代⾦の総額が5,000万円(建築⼀式⼯事の場合8,000万円)以上)におて、施工体制台帳(及び施工体系図)の作成・現場備え付けが義務づけられています。

特定建設業者は、発注者から直接建設工事を請け負つた場合において、当該建設工事を施工するために締結した下請契約の請負代金の額(当該下請契約が二以上あるときは、それらの請負代金の額の総額)が政令で定める金額以上になるときは、建設工事の適正な施工を確保するため、国土交通省令で定めるところにより、当該建設工事について、下請負人の商号又は名称、当該下請負人に係る建設工事の内容及び工期その他の国土交通省令で定める事項を記載した施工体制台帳を作成し、工事現場ごとに備え置かなければならない。

建設業法第24条の6

【一般・特定建設業許可業者】主任技術者及び監理技術者の設置等(建設業法第26条) 

技術者

建設業許可業者は、請け負った現場ごとに配置技術者(主任技術者又は監理技術者)を選任配置しなければなりません。

建設業者は、その請け負つた建設工事を施工するときは、当該建設工事に関し第七条第二号イ、ロ又はハに該当する者で当該工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどるもの(以下「主任技術者」という。)を置かなければならない。

建設業法第26条 抜粋

なお、配置技術者は、適正な管理体制のもと、現場を複数兼務することも可能ですが、請負金額が4,500万円(建築一式の場合は9,000万円)以上の工事(住宅と長屋工事は除く)については、配置技術者は工事現場ごとに専任(原則、複数現場の兼務禁止)でなければなりません。

なお、専任が必要な現場でも、条件を満たすことで他の現場と兼務できるケースもあります。

【一般・特定建設業許可業者】標識の掲示(建設業法第40条) 

建設業許可を取得している業者はその営業所や元請現場において、業者の標識を掲示しなければなりません。

建設業者は、その店舗及び建設工事(発注者から直接請け負つたものに限る。)の現場ごとに、公衆の見やすい場所に、国土交通省令の定めるところにより、許可を受けた別表第一の下欄の区分による建設業の名称、一般建設業又は特定建設業の別その他国土交通省令で定める事項を記載した標識を掲げなければならない。

建設業法第40条

記載事項とサイズが定められています。

【一般・特定建設業許可業者】帳簿の備え付け等(建設業法第40条の3) 

建設業許可業者は、請け負った工事について、帳簿及びその図書を保存しなければなりません。

建設業者は、国土交通省令で定めるところにより、その営業所ごとに、その営業に関する事項で国土交通省令で定めるものを記載した帳簿を備え、かつ、当該帳簿及びその営業に関する図書で国土交通省令で定めるものを保存しなければならない。

建設業法40条の3

まとめ

まとめ

建設業法には、建設業者としての義務が記載されています。自社でコンプライアンスを重視して経営されるのはもちろん、取引先との関係で、しっておくと役に立つ知識もあります。

昨今、法改正が頻繁におこわれる建設業法ですが、随時チェックが必要です。

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